旅9 (2018/06/11 noteより)

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5月21日 月曜日、朝8時過ぎ、家を出る。

 

これから約10時間、普通列車と快速を乗り継いで、新大阪までいくわけだが、もうすでに後悔する。

平日の朝8時なんて、満員電車に決まっているのだ。山手線はぎゅうぎゅう。そこに楽器と大きめのバッグを持った人が乗り込むのは、頭がおかしいとしか思えない。

 

品川から熱海へ行く電車で、すっかり人がいなくなった。しばらく座って、うとうとする。

 

横浜も越え、茅ヶ崎も越えてくると、遠くに来たなという感覚になる。普段 来ない方面は、近くても遠い気がしてしまう。本当は、青森のほうが何倍も遠いのに。

 

根府川駅から見える海が、とても綺麗だった。昨年の11月も、伊豆に遊びに来たのだが、海沿いをずっと運転してもらい、とても気持ちが良かったのを思い出した。

 

熱海駅で乗り換える。浜松のほうへ向かう。
いそいそと隣に座ったおばさまが、いそいそと話しかけてくださった。「あなた、チェロやってらっしゃるの?」

聞けば、ご自身もチェロをやっていらっしゃるらしい。もう10年ほど習っているが、いまバッハの3番が難しくて飽きちゃうわ、とのこと。

 

音楽の話や旅行の話をたくさんして、途中、富士駅富士川駅の間の橋で、この電車では、ここから見る富士山がいちばん綺麗なのよ、と教えていただいた。晴れ渡った空に、本当に美しく映えていた。

 

手帳にサインをして欲しいと言っていただいたので、僭越ながら書かせていただく。乗り換えで、お別れ。短いけれど、とても楽しい時間でした。

 

またひとりになり、動画や写真をすこし撮った。何が写っているわけでもない、ごく普通の電車の風景。シンプルで、だからこそワクワクする。そしてまた少し、うとうとする。

 

地理に詳しくない私でも、豊橋駅と聞いて、愛知県に入ったんだなと分かった。持ってきたカロリーメイトをぽりぽりと齧り、お茶を少し飲む。

 

なんか、昆布とか、甘くないものも持って来ればよかったなぁと思い、試しに、荷物につめてきためかぶ茶をかじってみたが、ものすごく塩辛かった。

 

米原の駅で乗り換えると、また少しずつ乗客が増えてきた。

もうこのまま一本で、新大阪に着く。景色は仄暗くなり、帰宅ラッシュが近づいている。

 

つづく