旅5 (2018/06/09 noteより)

f:id:vcshiori:20190828030114j:image

 

翌朝、大雨の予報だったが、まだ晴れていた。

父が、晴れてるうちに、少し外に行ってみる? と言うので、一緒に車に乗った。祖母は来なかった。

車で10分ほどの海岸に行ってみる。特になにもないが、大きな岩棚が広く広く、続いている。千畳敷の名前の通りだ。

 

f:id:vcshiori:20190828030221j:image


f:id:vcshiori:20190828030228j:image

 

最近まで知らなかったのだが、深浦千畳敷海岸は、「日本の水浴場55選」「日本の夕陽百選」に選ばれているらしい。海水浴とキャンプのメッカなどとも言われているそうだが、キャンプをしている人を見た記憶がない。時期が違うからか。

はじめは、父と私しかいなかった寂しい火星のような千畳敷に、突然わらわらと人が来た。

五能線の観光列車が、千畳敷も降りて見られるスポットにしているようで、みんな観光列車から降りてきたのだ。

少しすると、列車が汽笛をあげ、みんな車内に戻っていった。この列車は、白神山地や、青池も見るのだろうか。青池は、今日のような天気でも綺麗な青なのだろうか。

 

f:id:vcshiori:20190828030506j:image


f:id:vcshiori:20190828030511j:image

 

父と私は、あの亀の手は取れるかとか、マイナスドライバーがあればフジツボ取り放題だったのに、などと言いながら、散々写真を撮り、うみねこをちょっと触り、千畳敷を後にした。

お店に行くと、40cmはあるんじゃないかという大きなヒラメが、まだエラを動かしていた。いか焼きと、ハタハタのすしこと、イカのすしこ、あんこうのとも和え、ピンクのおいなりさんなど、カゴに入れていく父。米ものが多い。津軽らしい。
そして、じょっぱり にごり酒と、祖母に頼まれたネギも買って、家へ戻る。

 

祖母が、カレイを煮付けてくれた。
この辺りはこの時期、カレイばかりだ。水草ガレイと呼ばれていて、どこへいってもおすそ分けで、処理済みで冷凍された水草ガレイをもらう。みんなもらうから、みんな余っている。みんなここぞとばかりにくれる。

カレイの煮付けは美味しい。焼いても美味しい。揚げても美味しい。


でも、みんな食べすぎて飽きている。私と父は、飽きていないので、たくさん食べられる。

 

にごり酒と、よく合う。

 

つづく

旅4 (2018/06/09 noteより)

仏壇にお土産をあげて、手を合わせる。

翌日から二日間、大雨の予報だったので、雨に合わせて来たようなもんだね、とみんなで笑いあった。

 

f:id:vcshiori:20190828025559j:image

 

青森の最高気温は、12℃。

祖母は、時折ストーブをつけて、テレビを見ている。

普段は、もう立ち上がるのも億劫だ、食べるのも億劫だ、と言っているらしい祖母も、ごはんの準備を軽く手伝い、たくさん食べている。
やはり、ひとりで居るとなんでも億劫になる。

 

本当は、祖母も東京に来ればいいのだ。

祖母は、今さら引越したくないし、青森でひとりで良いよと言ってはいるが、来てしまえば楽しく暮らせる人だ。元来、柔軟性に富んだ、モダンなおばあちゃんだ。

 

でも、父は怖いのだ。

逆に、青森に戻ろうかな、などと言っている。それも良いと思う。でも、多分、父はしない。

母も、青森の人である。でも、母は絶対に青森には戻らない。

本当は、バイオリンやピアノをいちばん習いたかったのは、幼少期の母だ。でも、土地も周りの人間も、そういう環境ではなかった。

母は、東京が好きだ。
祖母が東京にきたら、たまに一緒にデパートに行ったり、ちょっと美味しいもの食べに行ったり、きっとお義母さんも楽しいのにね、と言っている。

 

私はぼんやりと、私が、青森で祖母と住むという選択肢もあるんだな、と思った。

 

祖母はテレビを眺めて、この監督は悪い監督か? 悪い顔をしている、と聞いてくる。アメフトの悪質タックルのニュースばかりが流れている。

この監督は、悪い顔をしているけど、悪くない監督だよ。こっちの監督が、優しい顔をしているけど、悪い監督。

 

祖母は、顔と逆だったなぁ、と笑っている。

 

つづく

旅3 (2018/06/09 noteより)

5月15日の昼すぎ、父から連絡が入った。出発を一日遅らせてもいいか、とのこと。仕事が入ってしまったらしい。もちろん、と返して、まだしていなかった荷造りをした。

 

その日の夜に、実家に泊まり、16日の早朝に出発する予定だったので、予定がまるっと一日ずれた。16日の夜、実家へ向かう。

 

父に、お風呂や荷造りをかるく急かしたり、母の話を聞いたりしていたら、深夜になってしまった。翌朝は4時半起き、5時出発の予定だったので、せめてもとベッドで目だけつむる。

 

f:id:vcshiori:20190827044005j:image

 

出発して、東京駅へ。新幹線の切符を買おうとしたら、ほぼ満席でびっくりした。
父と隣席を取れなかったので、前後で近い席を購入した。ついでに帰りの切符も買ったのだが、こちらもなかなかの埋まり具合。出張や旅行というのは、こんなにも一般的なんだなと、変なところで感心してしまった。

 

新幹線の時間まで、一時間ほどあったので、駅のホームでサンドイッチとコーヒーを食べる。肌寒い。

 

新幹線に乗ってしまえば、あとは3時間半ほど、ぼんやりしていればいい。とても眠かったが、あまり眠れないまま、周りのサラリーマンを眺めていた。新青森駅に着いた。

 

ここでレンタカーを借りる。

祖母宅はJRの駅から徒歩1〜2分の場所なので、電車を乗り継いで行けば着くのだが、そうすると自由に動ける足がない。
車で2時間弱、祖母の家に着いた。

 

f:id:vcshiori:20190827044202j:image

 

相も変わらず日本海、雲が重い。
家からすぐ目の前が、この海。徒歩20秒で海、なんて言えば聞こえは良いが、そういうポップさが無いのが、日本海のおもしろいところだと思う。

 

3年ぶりに会う祖母は、ふつうに元気だった。父から「弱っている」と聞かされ続けていたので、どれほどかと思っていたが、80歳を超えたお年寄りならこのくらい弱っているだろうという、そういう弱り方だった。


父からすれば、親の若い頃の思い出がたくさんあるので、とても弱くなってしまったように感じるのだろう。そして私も、いずれ親に対してそう思うのだろう。

 

f:id:vcshiori:20190827044257j:image

 

祖母が「詩織ちゃん、青森になんで来たかったの?」と聞くので、「おばあちゃんに会いたかったんだよ」と返す。

 

理由は少ない。でも大きい。

 

祖父はもう居ない。母方の祖父母も、どちらも亡くなっている。

 

つづく

旅2 (2018/06/09 noteより)

「16日から20日で、行ける?」と電話がきた。4泊5日、想定よりは長かったが、行けると答えた。

 

父から連絡が来るまでに、交通手段だけは算段していた。

 

チェロと一緒ということを考えると、高速バスには無理がある。そもそも楽器を持ち込めないバス会社が多く、持ち込めるバス会社だと席代が少し高い。それをチェロと2人分と取ると、思いのほか高くついてしまう。


レンタカーも考えたが、予定が読みきれないこと、一人で長距離運転は事故のリスクが高いこと、駐車場付きのホテルを選ばなければならないことを考えると、良策ではない。

 

あとは、もう電車しかない。電車しかないとなると、意固地になってくる。こうなったら、特急には乗りたくない。


そうでなくても、特急だとチェロとぎゅうぎゅうに一席に収まるので、隣の人にやや迷惑がかかる。なんだかんだ、鈍行が楽なのである。楽器で移動しやすいのだ。

 

青森まで父と行くことが決まり、残念ながら栃木は諦めた。移動スケジュールに入らなくなった。春と秋に必ず行く場所だし、近いのだから、また機会を作れば良い。

 

あとは、ひたすら西へ南へと向かうだけだ。友人たちに、スケジュールを確認すると、ぎりぎり都合よく会えることがわかった。

それに合わせて、ホテルをまとめて検索、予約する。


なるべく安く泊まれる場所に絞る。東京から関西に行き、そこで泊まる。関西から大分まで行き、また泊まる。帰りは一気に戻るが、鈍行だと一日では戻れないので、中間地点で一泊して、翌日に東京まで戻ってくる。

 

ほぼ素泊まりや、宿泊中の部屋清掃なし、連泊だと安くなるプランなどと探していって、いちばん安いところでは、一泊 3500円まで下がった。

 

計画上は、なかなか綺麗にまとまった。

 

つづく

f:id:vcshiori:20190815182445j:image

旅1 (2018/06/08 noteより)

2018年5月、どこかに旅行に行こうかなと、思い立つ。正確には、旅行してみれば?と言われ、それも良いなと思ったのだ。

 

ぽっかりと空いたスケジュール。金銭的に切迫しているわけでもない。こんな機会はなかなか無いかもしれないと、重い腰をあげてみた。

 

最初の問題は、どこへ行くのか。

 

あまり旅行へ行ったことがなく、どの土地にもどの交通手段にも、詳しくない。行きたいところ、会いたい人…。ほとんど無いと思っていたのだが、考えるとぽろぽろと出てきた。

 

まず思い浮かんだのは、祖母。青森県

もう80歳を超え、独り暮らしをしている。幸い病気などではないが、会える回数にも限りがあるかもしれない。会えるときに会いにいきたい。

 

兵庫県の友人。大分県の友人。栃木県の炉心庵さん。

 

土地として行ってみたいのは、金沢。岐阜。

北海道や沖縄も、一度は行ってみたい。

 

だらだらと考えていると枚挙に暇がないので、人に会う旅にしようと絞った。そうすると、青森、栃木、兵庫、大分となる。完全に縦移動だ。

 

使える期間は約2週間。予算は、大まかに10万円としておく。飛行機や新幹線で移動すると、完全に予算オーバー。高速バスか、普通列車の乗り継ぎか、レンタカーとなる。

 

そして、宿泊も考えなければいけない。まず、祖母宅に泊まっても、祖母の負担にならないか、父に確認してもらった。私が直接連絡すると、祖母は気を使って泊まっていけという可能性があるからだ。

 

すると、まさかの展開で、父が「俺も行く」と言う。仕事の都合つけるから、ちょっと待っててとのこと。ここで父の予定待ちとなり、自分の予定を組むのは頓挫したのであった。

 

つづく

f:id:vcshiori:20190815155732j:image

努力と工夫

たまに聞かれる、弾きかたに関するアドバイスのようなこと。

 

どういう言葉なら分かりやすいかなーと、考えて答えてはいるものの、上手く書けない。偉そうだとも言われた。

まぁ、ほとんど意味のないことだな、と思っている。

 

速く走れるコツを、文書で紹介するようなものだ。そもそも誰も読まないが、奇特な読んだ人のうち、8割の人が次の日には忘れている。忘れなかった人のうち、8割は実践には至らない。実践した人のうち、8割は継続しない。さらに残りの継続した人のうち、速く走れるようになるのは何人なのか。

 

「無料のアドバイス」ほど、阿呆みたいなものもないな、と思う。

ライブ告知たち

いつもいつもブログ放置ですが、たまにはということで、現段階で決まっているライブの告知を。

ご予約は、どんな方法でも承ります。必ず確認の返信をいたしますので、レスポンスがなかった場合、何かしらの事故で届いていないと思っていただければ…。

 

メールアドレス→ vc.melmo@gmail.com

 

 

----------

・8月7日(火) @三軒茶屋 HEAVEN'S DOOR

スギムラリョウイチ+チェロしおり

 

open 18:30/start 19:00

adv. ¥2,000- +1drink/door ¥2,300- +1drink

 

19:00〜 浅原パンダ

19:40〜 スギムラリョウイチ+チェロしおり

20:20〜 キライ

21:00〜 Tecimerico

21:40〜 アスカトタケシ

 

 

----------

・8月23日(木) @三軒茶屋 HEAVEN'S DOOR

NA/DA +チェロしおり

 

open 18:30/start 19:00

adv. ¥2,000- +1drink/door ¥2,300- +1drink

 

19:00〜 ZARIGANI$

19:40〜 NA/DA+チェロしおり

20:20〜 O

21:00〜 泥

21:40〜 gharr

 

 

----------

・8月26日(日) @東中野 ALT- SPEAKER

みうらりこレコ発ライブ(サポートチェロ)

 

(詳細未定)

 

 

----------

・8月28日(火) @大久保ひかりのうま 

open 19:00/start 19:30

チケット ¥1,800 (+1order)

 

出演:どろうみ/ふれでりっく書院

 

どろうみ初の4人体制です。ふれでりっく書院さんとのツーマン、ぜひぜひ。

 

 

----------

・8月30日(木) @東高円寺 二万電圧

NA/DA +チェロしおり

 

(詳細未定)

 

 

----------

・9月30日(日) @祖師ヶ谷大蔵 カフェ ムリウイ

どろうみライブ

 

 

----------

・10月7日(日)

うろんろん

 

 

----------

・10月20日(土)

うろんろん

 

 

----------

・10月25日(木) @三軒茶屋 HEAVEN'S DOOR

スギムラリョウイチ+チェロしおり 無料音源配布ギグ💿!

 

普通にしっかりしたCDを、この日来たお客さんだけには無料で配っちゃうぜという、前代未聞のライブ!笑

この日を逃すと、もうないと思う。

 

 

----------

・10月27日(土)夜、28日(日)昼 @栃木日光 炉心庵コンサート

 

両日とも、姉(バイオリン)とのデュオと、私のソロと、両方やります。内容は少し変える予定です。

27日はディナーコース付き、28日は申し訳ないのですが恒例のランチ無しで、コンサートのみとなる予定です。