旅3 (2018/06/09 noteより)
5月15日の昼すぎ、父から連絡が入った。出発を一日遅らせてもいいか、とのこと。仕事が入ってしまったらしい。もちろん、と返して、まだしていなかった荷造りをした。
その日の夜に、実家に泊まり、16日の早朝に出発する予定だったので、予定がまるっと一日ずれた。16日の夜、実家へ向かう。
父に、お風呂や荷造りをかるく急かしたり、母の話を聞いたりしていたら、深夜になってしまった。翌朝は4時半起き、5時出発の予定だったので、せめてもとベッドで目だけつむる。
出発して、東京駅へ。新幹線の切符を買おうとしたら、ほぼ満席でびっくりした。
父と隣席を取れなかったので、前後で近い席を購入した。ついでに帰りの切符も買ったのだが、こちらもなかなかの埋まり具合。出張や旅行というのは、こんなにも一般的なんだなと、変なところで感心してしまった。
新幹線の時間まで、一時間ほどあったので、駅のホームでサンドイッチとコーヒーを食べる。肌寒い。
新幹線に乗ってしまえば、あとは3時間半ほど、ぼんやりしていればいい。とても眠かったが、あまり眠れないまま、周りのサラリーマンを眺めていた。新青森駅に着いた。
ここでレンタカーを借りる。
祖母宅はJRの駅から徒歩1〜2分の場所なので、電車を乗り継いで行けば着くのだが、そうすると自由に動ける足がない。
車で2時間弱、祖母の家に着いた。
相も変わらず日本海、雲が重い。
家からすぐ目の前が、この海。徒歩20秒で海、なんて言えば聞こえは良いが、そういうポップさが無いのが、日本海のおもしろいところだと思う。
3年ぶりに会う祖母は、ふつうに元気だった。父から「弱っている」と聞かされ続けていたので、どれほどかと思っていたが、80歳を超えたお年寄りならこのくらい弱っているだろうという、そういう弱り方だった。
父からすれば、親の若い頃の思い出がたくさんあるので、とても弱くなってしまったように感じるのだろう。そして私も、いずれ親に対してそう思うのだろう。
祖母が「詩織ちゃん、青森になんで来たかったの?」と聞くので、「おばあちゃんに会いたかったんだよ」と返す。
理由は少ない。でも大きい。
祖父はもう居ない。母方の祖父母も、どちらも亡くなっている。
つづく