チェロが分からない(6)
こんばんは〜、チェロ弾き しおりですよ〜(U・x・U)♪
さてさて、今回もやってまいりました。チェロが分からない 第六弾、雑コラムのお時間です。
前回も、なんとなくダラダラと室内楽のはなしをしましたが、今回も弦楽のはなしを。
まんがには「チェロでいちばん有名な」と書いてしまいましたが、おそらく、室内楽全体でいちばん曲数が多いのが、弦楽四重奏ではないでしょうか。
曲によって、パート編成が変わる室内楽の組み合わせは多いですが、弦楽四重奏は必ず
・第1バイオリン
・第2バイオリン
・ビオラ
・チェロ
と決まっています。
偏っているように感じるかもしれませんが、べつにコントラバスがビオール属だから、仲間はずれにされているわけではなく(笑)、これは室内楽の歴史が関係しています。
バロック音楽(クラシック音楽のなかでも、古いほうの音楽)の時代には、「通奏低音」という考えかたがありました。鍵盤楽器の左手(低いほう)や、低音楽器が、全体を通して低音パートを受け持つ、という考えかたです。
バンドでいうところの、ベースのパートですね。
通奏低音の仲間は、ファゴットや、チェロ、コントラバスなどです。
バンドでメンバーを組むときに、いきなりベースを2人から集めることは少ないですよね。
同じように室内楽でも、チェロとコントラバスという低音パートが2人もいると、とてもバランスが悪くなってしまうので、片方にしぼられ、音域と音質のまとまりが良いチェロが残りました。
だったら、もっとすっきりバランス良く、バイオリン、ビオラ、チェロを、各1人ずつで、三重奏がいちばんポピュラーになってもよかったんじゃ?と思えますが、弦楽四重奏が主流になったのも、バロック音楽時代からの歴史が関係しています。
この時代には、トリオソナタ、という編成があったんですね。トリオだから、3人かな?と思いきや、トリオ(3人)と、ソナタ。
前回の雑コラムで、チェロソナタは、チェロとピアノの二重奏で〜…というはなしを書いたことを、覚えているかたはいらっしゃらないと思いますが(笑)、要は、トリオに鍵盤楽器の伴奏がつく、という室内楽編成なんです。
ここでいう鍵盤楽器は、チェンバロ。そして、トリオは、バイオリン、バイオリン、チェロ、です。すでに偏っています。
・バイオリン(メロディー)
・バイオリン(メロディー)
・チェンバロ(右手ハーモニーと、左手ベース)
・チェロ(ベース)
というバランスになっていたんです。
それがやがて、伴奏習慣がなくなり、高音と低音のあいだを埋める楽器として、ビオラが入りました。
しかし、ビオラだけでは、2本の旋律パートを支えきるほどのハーモニーを受け持つことは難しかったので、
・第1バイオリン(メロディー)
・第2バイオリン(ハーモニー)
・ビオラ(ハーモニー)
・チェロ(ベース)
のように、推移してきました。こうして、今の弦楽四重奏に近づいてきたんですよ。
こうしてみると、コントラバスがかわいそうとも感じますが、でも、コントラバスには通奏低音という仕事がしっかり有り、この編成でなければ、ちゃんと仕事があったんですよね。
それに対してビオラは、最初からわりと省かれがちなうえ、ハーモニーとしても不完全じゃね?とか言われて、もしかして、ビオラのほうが…
おや、誰かが来たようだ…。